後期の授業が始まりました.私は前期を近畿大学工学部と広島工業大学環境デザイン学科,後期を広島国際大学工学部建築学科・住環境デザイン学科それぞれに非常勤講師として他の教員と共に学生指導を担当しています.最近は,大学の設計演習後期授業が選択必修や選択科目になっている場合が多々あります.本来大学に於ける設計教育は大学建築学科や同様のデザイン教育をする科目では根幹となる科目だと思います.その科目が選択科目となることに近年における大学と学生との関係性の変化を感じています.
私が学生時代は一コマ100分授業で,設計演習は全て必修科目でした.もしも落としでもしたらその時点で留年決定でした.無条件に留年決定となる科目は,設計演習と構造力学の2科目でした.構造力学の期末試験の時など手が震える思いで受けた記憶があります.卒業年の4年生は,全員が前期に卒業論文・後期は卒業設計と2課題が卒業条件として課せられていました.この事は大学教育を考える時,いまでも大変有用で重要なことと思います.授業内容が学生にとって楽になるほどその質は確実に下がっていると感じます.そろそろ危機感を持って卒業生の質を問う時期だと思います.ちなみに私の学生時代就職活動は4年生の9月ころが解禁でしたので確実に授業時間は確保され開講が保証されていました.当然のことながら大学で学ぶ内容に関する密度は大きな差異を感じています.
大学を問わず学生の質が落ちたと近年様々な場面で話題になりますが,前述の事柄が卒業生の学力の質に於いて大きな要因となっていることは確かなことと思います.W大学はそう言う意味では真にその質を問う授業体系となっている様に思います.全国の大学はいまや本腰を入れて大学教育の本質と使命を問う時期に来ています.危機感とはそう言うことに留意したうえで言えることでは無いでしょうか.