先日,テレビにて東山慈照寺(銀閣寺)の特集を見ました.番組ではなぜ銀閣という名称なのかということと銀閣と月の関係という2つの事を軸に解説していました.
まず,なぜ銀閣かということですが一般的には金閣寺は金箔を貼った豪華な造りで,一方の銀閣は建設当初の記録が失われ,財政難からか銀箔を貼ることが出来なかったので”わびさび”のある渋い造りとなった思われています.しかし,番組内では解体修理により外壁にはミョウバンが混ぜ込んだ白土が塗り込まれ,更には彩色が施されていた形跡が見つかったとのことでした.このことで建設当初の銀閣は白土にミョウバンの結晶がきらめくまさに銀閣だったからだという可能性が高いことが証明されていました.
次に銀閣と月の関係ですが東山からのぼる月の出の方角を正確に計算して建物や池の石を配置,月の動きに合わて,銀閣の1層から2層,そして別棟へと延びる動線を計画し,また白砂を段形に盛り上げた銀沙灘や向月台が銀閣を月の光で演出している可能性をコンピューター解析することで,銀閣は月をテーマに計画していることを証明しました.
この番組を見て,表層の話だけでなく月という主題を緻密な計算により成し遂げているために存在に奥行きが生まれ長く人々を惹き付けてやまないのだと確信しました. (D.H)